「北鎌フランス語講座 - 文法編」と連動し、短い例文を使って徹底的に文法を説明し、構文把握力・読解力の向上を目指します。

格言集

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このページでは、ラ・ロシュフーコー(1613-1680)の『マクシム』(格言集、箴言集)の、恋愛以外の格言について取り上げます。

17 世紀の文ですが、現代の文法とほとんど同じです(違う場合のみ注記します)。


Le soleil ni la mort ne se peuvent regarder fixement.

【訳】
太陽も死も直視することはできない。

【補足】
ラ・ロシュフーコーの最も有名な格言です。

【単語の意味と文法】
まず、活用している動詞の部分を見てみると、「peuvent」は pouvoir (~できる)の現在 (3人称複数)です。ということは、主語は複数のものです。ということは、「Le soleil」と「la mort」の 2 つが主語だとわかります。
「soleil」は男性名詞で「太陽」。太陽は一つしかなく、特定化されるので、定冠詞がつきます。
「mort」は女性名詞で「死」。「死というものは...」という感じで概念化されているので、定冠詞がついています。

「ni」は通常、ni A ni B ne... (A も B も ... ない)という形で使われますが、主語では最初の ni は省略される場合もあります。ここも、最初に ni を補って、

  Ni le soleil ni la mort ne...

と言うこともできます。

さて、実はこの格言は、現代の文法とは語順が異なります。
現代の語順に直すと次のようになります(se の位置が異なります)。

  Le soleil ni la mort ne peuvent se regarder fixement.

非常に有名な格言なので、元のラ・ロシュフーコーの原文の形と、現代の語順に直した形と、両方覚えておくとよいと思います。
実際、フランス人でも、どちらの形で引用するかは、人それぞれです。
お勧めなのは、現代の語順を十分に理解したうえで、元の原文の形で引用することです(現代の語順の規則については後述)。

「peuvent」は、pouvoir (~できる)の現在(3人称複数)で、pouvoir はいわゆる「準助動詞」です。
「se」は再帰代名詞。他動詞「regarder (見つめる)」の直接目的になっているので、「自分を」という意味です。「自分を見つめる」が直訳ですが、ここでは「受身的」な意味で、(物が主語で)「見つめられる」という意味になります。

再帰代名詞の位置は、人称代名詞と同じで、準助動詞を使う場合は、本動詞の直前に入れるので、前述のように「...peuvent se regarder...」というのが(現代では)正しい語順です。

「fixement」は副詞で「じっくりと」。
「regarder fixement」で「凝視する、直視する」となります。

【出典】
ラ・ロシュフーコー『マクシム』, No.26

On s'ennuie presque toujours avec les gens avec qui il n'est pas permis de s'ennuyer.

【訳】
一緒にいて退屈することが許されない人々と一緒にいると、ほとんどつねに退屈するものだ。

【意味的な補足・蛇足】
Où il y a de la gêne, il n'y a pas de plaisir. (気詰まりがあるところでは、楽しみはない)という諺に通じるものがあります。

【単語の意味と文法】
「On」は漠然と「人は」という意味ですが、訳さないほうが自然になることが多い言葉です。
「ennuie」は他動詞 ennuyer (退屈させる) の現在(3人称単数)。その直接目的が、前についている再帰代名詞「s’」なので、「自分を」退屈させる、つまり「退屈する」という自動詞的な意味になります。
「presque」は副詞で「ほとんど」。
「toujours」も副詞で「つねに」。
「avec」は前置詞で「~と一緒に」。ここでは「~と一緒だと」、「~と一緒にいると」という感じです。
「gens」は「人々」という意味。複数形でしか使わない言葉です。

次に関係代名詞「qui」が使われていますが、これは後回しにして、先にそれ以外の部分を見ておきます。
「permis」は他動詞 permettre (許す)の過去分詞。mettre と同じ活用をする不規則動詞です。辞書で permettre を引くと、次の形が載っています(「est」が être の現在(3人称単数)、「permis」が過去分詞なので、être +p.p. で受動態です)。

  Il est permis de + inf. 「~することは許されている」

この「Il」は仮主語で、de 以下が意味上の主語です。
つまり、「il n'est pas permis de s'ennuyer」で「退屈することは許されない」となります。

さて、以下では関係代名詞について見ていきます。
関係代名詞「qui」の前には前置詞「avec」がついているので、7 種類の関係代名詞のうち、「前置詞なし関係代名詞 (1) qui 」ではなく、「前置詞つき関係代名詞 (6) 前置詞 + qui 」に該当します。この場合、先行詞は必ず「人」になります。

それでは、「関係代名詞を使った文を 2 つの文に分ける方法」で 2 つの文に分けてみましょう。

  • a) 関係詞節(=カッコに入れた部分)を除いたものが、1 つめの文になる。

    カッコに入る(関係詞節となる)のは、「avec qui il n'est pas permis de s'ennuyer」なので、これを除くと、
      On s'ennuie presque toujours avec les gens
    これが 1 つめの文になります。次に、

  • b) 2 つめの文を導き出すには、まず先行詞と関係詞節だけを取り出す。

      les gens avec qui il n'est pas permis de s'ennuyer
    となります。

  • c) 「前置詞つき関係代名詞」の場合は、関係代名詞を消し、
      前置詞を先行詞の前に移動する。

    qui を消して、前置詞 avec を先行詞 les gens の前に移動します。
      avec les gens    il n'est pas permis de s'ennuyer
    という 2 つのグループに分かれます。

  • d) 「前置詞 + 先行詞」を、後ろの部分のどこかに組み込むと 2 つめの文になる
      (どこに組み込むかは文脈で判断する)。

    この文の場合、後ろの部分には、特に前置詞 avec と一緒に使う言葉(動詞など)はないので、状況補語として最後に持ってきます。
      il n'est pas permis de s'ennuyer avec les gens.
    となります。これが 2 つめの文です。

以上で、次のように 2 つの文に分けられました。

  On s'ennuie presque toujours avec les gens.
    (それらの人々と一緒だと、ほとんどつねに退屈する)
  Il n'est pas permis de s'ennuyer avec les gens.
    (それらの人々と一緒だと、退屈することは許されない)

それでは逆に、この 2 つの文を出発点に、関係代名詞を使って 1 つの文にまとめるにはどうするか、という視点で見てみましょう。
2 つめの文の les gens は 1 つめの文と重複しているから、これを「代名詞」に置き換えましょう、そして 2 つの文は短いから、ついでに 1 つの文に「関係」づけて(結びつけて)しまいましょう。それではどの「関係代名詞」を使うかというと、代名詞に置き換えたい les gens の前には、前置詞 avec がついています。
文法編の関係代名詞のページの「表 3」 によると、「2 つの文に分けたとき、先行詞の前に de 以外の前置詞がつく」場合で、先行詞が「人」の場合は、lequel または qui を使います。lequel を使うこともできますが、ここでは qui を使ってみまましょう。
そうしたら、重複している言葉(les gens)のうち、1 つめの文の中の言葉を「先行詞」にします。そして、2 つめの文の重複している言葉(les gens)の前に前置詞(avec)がついていたら、「前置詞(avec) + qui」を先行詞の直後に置き、2 つめの文の中のそれ以外の部分(つまり「Il n'est pas permis de s'ennuyer」)を qui の直後に持ってきます。すると、もとの文になります。

【出典】
ラ・ロシュフーコー『マクシム』, No.352

Nous n'avouons de petits défauts que pour persuader que nous n'en avons pas de grands.

【逐語訳】
私達は、大きな欠点を持っていないことを説得するためにしか、小さな欠点を白状しない。

【意訳】
私達が小さな欠点を白状するのは、私達が大きな欠点を持っていないことを信じ込ませるためだ。

【意味的な補足・蛇足】
人は、自分の大きな欠点は白状せず、小さな欠点ばかりを白状する。
しかも、小さな欠点を白状するのは、大きな欠点を隠す(カムフラージュする)ためだ。

【単語の意味と文法】
「avouons」は他動詞 avouer (告白する、白状する)の現在(1人称複数)。
その前に否定の「n'」がついていますが、動詞の直後には pas またはそれに類する言葉がありません。
しかし、少し離れて「que」があるので、「ne... que ~ (~しか ...ない)」というつながりです。
このように、限定したい語の直前に que を置くので、ne と que の間が離れる場合がよくあります。

「petits」は形容詞 petit (小さな)の男性複数の形。
「défauts」は男性名詞 défaut (欠点)の複数形。
この前についている「de」は、「複数の形容詞+複数の名詞」の前では、不定冠詞 des は de になるという規則による「冠詞の de」です。

他動詞「avouons (告白する)」の直接目的が「de petits défauts (小さな欠点)」です。

「pour」は前置詞で、ここでは「目的」を表し、「~のために」。後ろに不定詞がくれば、「~するために」となります。

「Nous n'avouons de petits défauts que pour ~」までで、「私達は~するためにしか、小さな欠点を告白しない」となります。

「persuader」は他動詞で「説得する」。
この直接目的が「que」以下全体です。
辞書を引けばわかるように、que には色々な que がありますが、この「que」は接続詞で、英語の that に相当し、「...ということ」というように「名詞節」を作る働きをします。

「Nous n'avouons de petits défauts que pour persuader que...」までで、「私達は...ということを説得するためにしか、小さな欠点を告白しない」となります。

「en」は 3 種類の en のうち、動詞の直前にあるので中性代名詞の en です。
中性代名詞の en は、フランス語の文法で一番つまずきやすい項目の一つなので、「文法編」の中性代名詞のページを熟読されることをお勧めしますが、ここで出てきた「en」は、最後に「de + 形容詞」(ここでは「de grands」)がついているので見当がつくように、中性代名詞 en その 2 :不特定の同類の名詞を指す en「4. 後ろに形容詞が残る場合」に該当します。

結論からいうと、「en」を使わないで書き換えると次のようになります。

Nous n'avouons de petits défauts que pour persuader que nous n'avons pas de grands défauts.

「avons」は他動詞 avoir (持っている)の現在(1人称複数)。
「grands」は形容詞 grand (大きな)の男性複数の形。
その前についている「de」は、「冠詞の de」ですが、今度は「否定文では直接目的語には de をつける」という規則によるものです。

さて、上のように書き換えた場合、「défauts」という同じ単語が 2 回出てきます。同じ単語を使うと、少し幼稚な感じになるので、代名詞に置き換えたほうが好ましいといえます。
どの代名詞を使えばいいかというと、内容的に見て、 2 回目に出てくる「défauts (欠点)」は、1 回目に出てきた「défauts (欠点)」とは異なる(違う内容の欠点である)ので、英語の it に相当する言葉(人称代名詞の le, la, les)を使うことはできません。英語の one に相当する中性代名詞の en を使う必要があります。

「défauts」が「en」に置き換わると、動詞の直前に移動します。このとき、「défauts」の前についていた「de」(「de grands défauts」の「de」)は、冠詞の de は消えるという規則によって、消えます。
ただし、そうすると、形容詞「grands」だけが後ろに残ることになります。この場合は、新たに前置詞 de がつき、「de + 形容詞」が後ろに残るという規則により、前置詞 de がつきます。
このように、書き換える前と後では、一見すると同じ de が使われているように見えますが、文法的には異なるので、注意が必要です。

【出典】
ラ・ロシュフーコー『マクシム』, No.327


(順次追加予定)















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